マネジメントゲーム(MG研修)とは
社員さんが経営者マインドを持ったら、どんなに経営がやり易くなると思いますか?
社員さんに経営者をやってもらう。そんな研修があるのです。
それは、マネジメントゲーム(以下MG)研修です。MGは、昭和54年にソニーで開発された研修です。参加者は、製造業の社長となって、資本金300万円で、2日間で5年分の経営を行います。
通常の研修は、理入(座学)と言って、椅子に座って講師の話を聞くスタイルです。私の経験ですと、その時は分かったように思いますが、会社に帰ってみると「あれはどうだったかな?」と忘れていることが多く、また、しばらくたつとなかなか使ってないことが多かったです。
それに対して、MGは、行入と言って、自らが考えて意思決定をし、自分の手で決算を行います。結末を体験して学ぶので、まさに体で覚えるという感じです。
例えば、自転車の乗り方をいくら本で勉強しても自転車には乗れないと思います。やはり実際乗ってみて、失敗などの体験することで、自転車に乗れるようになるのだと思います。
MGも似ています。決算を、税理士ではなく自分でやることで、決算書に載っているよく分からない勘定科目が、別の勘定科目とつながっていることが分かるようになります。
ここの数字を変えると、この勘定科目に影響があるのが分かるようになり、異常値が分かるようになります。繰り返すことで決算書が読めるようになります。
研修中に、何度も意思決定をして、良かったこと、上手くいかなかったことを含めて結末を自分で体験します。そのおかげで、学んだことが、実際の経営でも生かされるようになります。
開発者の西順一郎先生は「MGは、ゲームを通じて、経理と経営が楽しく学べる研修です」とおっしゃいます。
それでは具体的にどんなことをするのかというと、順番にカード引いて、10個の行動のうち、1つを選んで実行します。最初は
①機械を購入(工場という文字の近くにあるグレーの部品)
②人を採用 (ワーカー、セールスマンの所にある白い部品)
これで製造、販売する体制ができます。
③前の市場から材料を購入
④購入した材料を商品にする
⑤販売する
基本的には③-⑤の(買う)→(作る)→(売る)意思決定となります。
販売は入札制です。同時に価格を言い合って、一番安い価格をコールした人が売れます。
入札する市場は6つに分かれていて、それぞれのマーケットのボリューム、最高入札価格が異なっています。他社との販売競争に高度な戦略が求められます。
名古屋市場では、28円が最高の価格、大阪だと24円となります(右の数字)。
ただし、マーケットボリュームはそれぞれ9個、13個となります(真ん中の数字)。
左の数字は、材料の単価となります。
さらに、機械の投資、採用、研究開発や広告、社員教育などの投資などを行って、販売能力、製造能力、価格競争力を他社と差別化していきます。価格だけでなく、販売能力、製造能力まで考慮して経営をする必要があります。
青チップは、価格競争力が強くなります(安く入札できる)
赤いチップは、販売能力が高くなります(たくさん売れる)
黄色いチップは、製造能力、販売能力が高まります。
また、カードには二種類あって、今まで説明してきた意思決定ができるカードとリスクカードを引くカードがあります。毎回必ず意思決定ができるのではないのです。リスクカードには、社員が退職したり、倉庫が燃えたり、社長が病気で倒れるといった現実でも起こりえるリスクもあります。実際の経営で起こるリスクが体験できます。
そして、マトリックス会計表というものを使ってご自身で決算を行って頂きます。全く経理を知らなくても、手順通りに作業をすれば、決算書を作ることができます。(経営者だけでなく社員さんもやってられますし、小学4年生もやっています。電卓が叩ければできます)
MGで、大きな投資をするとどうなるのか(どんな準備が必要なのか)が分かります。これからやろうと思っていることを試してみたりできます。さらに、やり方によると倒産も経験することができます(笑)。このように経営のシミュレーションができます。
また、5期決算書を作成することで経理への理解も深まります。繰り返して受講することで自社の決算書が読めるようになります。
社員さんと一緒にMGに参加することで、社員さんが経営に興味を持つようになり、うちの会社の青チップは何だろう? どの市場を狙うのがいいのだろう? という議論ができるようになります。そうして、全員経営への道が開けます。
MGとはこのような研修です。
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