不易流行
経営の師匠が、「私は経営で不易流行を狙ってきた。だから、大勝ちすることはなかったけども負けることはなかった。」とおっしゃいます。「不易」はいつまでも変わらないこと。「流行」は時代々々に応じて変化することと辞書では説明されています。
経営でいうと 「流行」の先端を走ることが最も儲かる方法で、時代が変わっても変わらない「不易」を守ることが、会社を潰さず、長期的に繁栄し続けるうえでとても重要なことだと師匠は考えられています。近江商人の座右の銘である「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」も不易の一つと師匠から教えてもらっています。
先日、取引先の食品の製造の会社に訪問したときに、これだけ円安になっているので、輸出はやってられるのですか? と質問をしたところ、まだ直接にはやっていません。商社を間に入れてやっています。ただ、A国とB国だけは、取引しないようにしているです。
理由を聞いてみると、以前インバウンドが流行ったじゃないですか! あの時に商品を供給してくれという依頼がたくさん来たんです。今回のコロナでインバウンドの市場がなくなりました。
政治的なことでA国、B国はすぐに渡航制限します。コロナと似たようなリスクがあると思っているのでA国、B国への輸出は考えていません。円安という流行を追わずに、キチンとリスクを考えて輸出先まで考えられているのが素晴らしいなぁと思いました。さすが200年も続く会社です。
師匠に学ぶ前の私は、○○をすれば、問い合わせが十倍になります。 といったようなすぐに売上があがるとか、利益が増えるという効果のあるセミナーに参加し、効果的な○○探しをしていました。
師匠から、「辻さんそんなの学んで何になるの?」と言われたことがあります。心の中で、売上を上げるためですよ! と思いながら、黙って聞いていました。
その時に教えてもらったのが先の「不易流行」です。「効果のある戦術は、すぐにライバルがまねして陳腐化するよ。そうするとまた新しい流行を追わなくてはならなくなる。大変な商売だね。商売の本質は信頼なんだよ。信頼を高めることが不易なんだよ」と教えてもらいました。
信頼を高める?? そんなことで売上が上がることが私には、イメージできませんでした。なぜなら、当社は下請け体質の会社だったからです。いくら親会社に納期や品質で尽くしてもそれはやってもらって当たり前という感じでした。長い付き合いがあってもライバルが安い見積もりを出せば、簡単に変わる。変わらなかったとしてもライバル会社と同じ値段にしないとダメでした。(もしかしたらそうではない会社もあるかもしれません)
しかし、今回の小冊子の販売では、直接注文をいただくだけでなく、わざわざ知り合いに紹介してくださったりと多くの応援してもらっています。おかげさまで予想を上回る結果となりました。これがきっと「信頼」というものなのだろうと感じました。師匠の言っていることの大切さを皆様から教えていただきました。これからも「不易流行」を大切にしていきたいと思います。
Comments